ABOUT horobite
ほろびてとは
【読んでほしいのは、簡潔でながい話】
一度なくなったものの中から、また立ち上げていく行為がわたしたちの創作の源流にあると捉え、その事後の事柄を想像し続けるために名付けたカンパニー名です。同時になにがしかに対して消滅をねがうほどの、卑屈さや気弱さ、不器用さや不自由さがやわらかく包まれていますように。
わたしたちの創作にはセリフを覚え、毎ステージ近似値で発話する行為が含まれていますが、同時にその不可能性も引き受けたいと考えています。セリフが引き起こす何かの流れより、場にいる身体の変化やそれに付随するなにがしかが主体で、乱暴な話をすれば身体がまとう時間を表出できればと。
ある種、2時間の物語が時間を軸にして一方向に積み重なり、情報や記憶の蓄積の結果、鑑賞者の感情に訴えるものと“しない”ことも可能なのではないか。物語という枠の中に「因果」を植え込まなくてもいいのではないか、という前提を持ち、現実と接続して思考することが可能な創作を志しています。
ロゴの「h」の周囲にある線はちぎれ、ばらばらです。この線がこの先つながって円となるのか、それともそれぞれが縮退して消滅するのかは明確ではありません。常に動的状態であり、“途中”であるということを意味しています。
「h」は「horobite」の頭文字であると同時に、「heart」であり「hurt」であり「hole」であり「hall」であればいいと考えています。
上演スタイルは、現代口語劇と長いモノローグの交差。膨らみ続ける感情が、どこかで決壊するような。いい人間になりたかったという願いと、はるかとおい現状、との距離。
演劇や舞台や言葉や身体を考えていると、ほろびての表現も今後、多様に塗り替えられるだろうと思います。
【ほろびての流れ】
早稲田大学演劇俱楽部を経て劇団「水性音楽」(主宰・作・演出)を結成し、同時期に劇団「猫ニャー(のちに演劇弁当猫ニャーと改名)」に俳優として参加した細川洋平が2010年より始動させた演劇カンパニー。
2015年より小さな舞台空間での創作をはじめ、見過ごされる人々を主題にした作品を多く発表。「物語」の構造を疑いながら、演劇という枠組みの更新へ向けた思索を続けている。
『あるこくはく』で第11回せんがわ劇場演劇コンクール グランプリ、劇作家賞(細川)、俳優賞(吉増裕士・客演)の三冠を受賞。
【細川洋平の経歴】
主宰・劇作・演出・俳優
78年2月14日、青森県生まれ、埼玉県出身。早大演劇俱楽部を経て劇団「水性音楽」を結成・主宰。俳優として演劇弁当猫ニャーに所属。両劇団の解散後、演劇カンパニーほろびてを立ち上げる。
セゾン文化財団セゾン・フェロー