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「コンとロール」創作の途中

細川 洋平|2021.01.14

出発点はふたつある。ゲームと、現実。そこからはじまって、演劇のことを考えて、現在の形に落ち着いた。『コンとロール』のこと。
台本は悩みに悩んで、年明け三が日も過ぎた頃の完本だった。もう少し早く書ける気がしたけど、感染者数の急増や緊急事態宣言のことが頭をよぎって書けなくなってしまう時期もあった。おもしろい作品というのは何だろう。それをずーっと考えているに違いないし、三幕構成とかそういうことを踏まえればいいのかとか、「台本って必要!?」みたいに自分に怒ったり、あれこれあれこれ。途中まで書いて「これが本当に書けることなのか」みたいに考えて、行っては返し、行っては返し、という道行きを繰り返して書いていった。「どうしてこの題材にしたんだろう」という疑問?後悔?も湧いてきたが、それはその都度解消していけた。理由はとても明確だった。上演を見てもらえたら分かってもらえる……かもしれない。「これ、書きたい」という、道なき道を進んだ。

今回は緊急事態宣言もあり、客席をさらに減らさないといけないということになった。昨年、劇場を予約した時点で「70%での客席で上演してほしい」とのことだった。もちろん増席は不可。劇場、カンパニー、スタッフ、出演者、どのレイヤーを切ってみても苦しいことはわかってる。飲み込みながら、さらに客席を減らすことになった。見てもらえる人数は、とても少ない。お財布には優しくなく、言ってしまえば厳しいけど、いい。(よくない)。

この作品を上演すること。(できるはず、と信じて)。
一人でも劇場で見てくれる人がいること。それでいい気がする。作品を生み出すという原初の衝動に従えば、それでいい。ということになる。
稽古をしながら思うことは、もっとだなぁということ。

今、現実はもはや計測ができない、ものさしのない状態にいる。正しさの無さ。その中で創作をする。いくつかの浮標を浮かべて何かを測ろうとしている。それが外側からどう映るのかということを本番で少しずつ知っていくのだろうなと思う。

1月14日現在。まだチケットがある回もたくさんあります。どうか見てほしいです。お待ちしております。(細)

Horobite.