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作品になるまでの足跡

細川 洋平|2020.09.26

ここには作品にまつわる思考の足跡を残せるようにしていこうと思っています。とはいえ作品を形作らせるまでに集めるのはさまざまな断片だったりするので、それをつらつらと書いていくかも知れません。具体的なものであるようにしたいなと思っているのですが、作品を発表する前に内容に触れることをどこかに書いてしまうのはそれなりに緊張もするので、もっと外側のことを書いてしまうかも知れません。ただ、読み甲斐のあるものにしたいという思いはありますので、ぜひお付き合いいただければと思います。

コロナのことをすっ飛ばして作品のことを書きます。すっ飛ばすというのは気分がいいですね。圧倒的に“ある”けど、見たことないけど罹患ってるかもわからないけど、“あるらしい”ものを“ある”ということにして見たことも“ない”けど可能な限り今後も見ないで済むように願いながらどうしたらそれが保証されるのかもわからないけど、でも、ここでは“ない”ことにして、書きます。

次回2021年1月に上演しようとしている作品は、「操る」ことに関しての思考になる予定です。「る/られる」「能動/受動」は同時に存在するものだと思いますが、「他者の力」の枠組みをいろいろと試し、変化させながら作品を形作っていく。これを大きな種として、じっくりと育てて行こうと思っています。しかし、どうしても今の状態では何があるかわかりません。それこそ「他者の力」「他者ならぬ力」によって公演そのものが…ということもあり得るわけです。今、9月26日にこうして書いている時点ではそんなことほんの微かな可能性としか捉えていませんし、これが微かな可能性として終わり実現されることがないことを祈るばかりです。

これまでとは別種の緊張が保たれたまま、上演までたどり着くこともあるのかもと考えると自分が想定しているものとはかけ離れた作品ができあがってしまうかも知れません。ですが、そういう不確定性も含めて、今はとにかく創作のために進みはじめる高揚感を抱えていこうと思います。

たくさんの人に見ていただきたいですが、客席の組み方、情勢その他でそうも行っていられなくなるかも知れません。それでも、可能な限り上演にこぎ着けたいとカンパニー一丸となって取り組んでいきますので、どうぞよろしくお願いします。

細川洋平

Horobite.